2013-01-01から1年間の記事一覧
映画「風立ちぬ」の主人公・堀越二郎は零戦の開発者としても有名ですが、同様に零戦の開発に携わり、戦後は鉄道畑に転じて新幹線の開発に従事した研究者・松平精という人物が居ます。戦中・戦後と一貫して「機械振動」の分野に携わり、研究の遅れから招いて…
映画「風立ちぬ」の主人公である堀越二郎はゼロ戦の開発者として名を馳せています。彼に限らず飛行機に対する愛とロマンに突き動かされつつも、兵器開発に携わらざるを得なかった技術者は多くいました。既存兵器の特攻への転用ではなく、「純」特攻兵器を開…
宮崎駿監督といえば、その初期の作品「ルパン三世 カリオストロの城」でも有名です。作品中欠かせない小道具といえば伯爵が搭乗するオートジャイロですが、その基礎理論にはなんと希代の哲学者・ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインが関わっていました。分析…
国際会議のために来日した外国人研究者二人を連れて、サントリー美術館で開催中の「谷文晁展」を見に行ってきました。サントリー美術館は初見参。管理人は「通訳案内士」という資格を持っていて、施設によっては「下見」「案内」名目で入場料が無料になった…
零戦を開発した技術者・堀越二郎を主人公にした宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」が公開されました。そこで本blogではこれを機会に、航空技術開発に関する科学史の文献をいくつか紹介していきたいと思います。宮崎監督が「評伝を作るつもりはなかったので何も調…
映画「スターリングラード」を見ました。ミリオタ的には終始灰色のスターリングラードを舞台に繰り広げられる地味地味な狙撃戦は非常に面白いのですが、一緒に見ていた人の大半には不評でした(特にラブストーリーの絡め方)。今更中身をレビューする訳では…
1945年4月、瀬戸際に追い込まれた連合艦隊は「天一号作戦」を計画、日本海軍の象徴である戦艦大和は沖縄への海上特攻を敢行することになります。同月7日14時23分、坊ノ岬沖で数百機に及ぶ米軍機の攻撃を受けた大和は僅かな生存者を残して海中に没しました。…
SYNODOS主催の試写会&トークショーで7月27日公開の映画「終戦のエンペラー」を見てきました。このような機会を下さった編集部の方々、トークショーに登壇された小菅信子さん、片山杜秀さんには感謝申し上げます。以下、簡単ではありますが映画の感想を記して…
今や世界中から電子化された論文をダウンロードできる時代、学術知の一形態である論文は容易に越境し流通しています。しかし遡ること70年前、戦争の勃発により日本への知の移動は大きな危機に直面していました。「科学封鎖」により知の還流を妨げられた学…
近代日本の発展を担った技術官僚たち、当初「お雇い外国人」の代替者でしかなかった彼らはいかにして科学技術行政中枢における地位を確立していったのでしょうか。法科系官僚の圧倒的優位に対し、結社と運動によって団結し、総力戦体制の形成と軌を一にして…
映画「アレクサンドリア」を見ました。主人公のヒュパティアについてはここを参照。 4世紀、ローマ帝国末期のエジプト、アレクサンドリア。宗教をめぐる市民の対立から街が荒廃する中、類まれなる美貌と明晰な頭脳を持った女性天文学者ヒュパティア(レイチ…
人文・社会科学の国際化が不十分だ!という話は折に触れてなされる訳ですが、その実態はどうなっているのでしょうか?そして外国語に対する認識とは?人文・社会科学の国際化における問題について、定量的なデータを元に各学問分野における状況を分析した論…
私が所属している研究室で科学史を専攻する院生有志が主催する研究会に今更ながら初参加してきました。 Isis Focus 読書会 #9 「科学史の未来」(2013年6月24日、於:東京大学駒場キャンパス or everywhere with internet connection*1) ここ(駒場科学史研…
戦前、戦中の科学技術研究体制と海軍との関係を「軍産学複合体」*1という視点で捉え、その意義と帰結を考察した論文を読みました。科学技術の専門家集団としての海軍は軍産学複合体の中でどのような役割を果たしていたのでしょうか? 畑野勇, 「科学技術にお…
技術者倫理はなぜ必要とされ、発展してきたのか?そこには日米欧で異なる歴史的・社会的文脈がありました。 金光秀和, 「技術者倫理の展望 –その歴史的背景と今後–」『情報知識学会誌』情報知識学会, 16(3), 2006, pp. 24-38 ※ http://ci.nii.ac.jp/naid/110…
グローバルな社会運動の作法ともいえる「レパートリー*1」 、それはどのようにして伝達され、実行に移されるのでしょうか?被害者、運動従事者、支援者を必ずしも明確には特定できない反グローバリズム運動を事例として、社会運動体同士の「連携」の実態を分…
学問分野はどのようにして独立・存続していくのでしょうか?美術史学における学術インフラ、学問的アイデンティティ、研究費受給体制を検討する事により、その具体的な過程と意義を明らかにした論文を読みました。筆者によれば、「1910〜1950年代の美術史学…
タイムラインが学振採用者の話題で盛り上がっていたので、日本学術振興会の設立に大きな役割を果たし、初代理事長に就任した化学者・櫻井錠二に関する論文を読んでみました。大学のグローバル化、基礎研究の充実、研究費の増加が一部で叫ばれる昨今ですが、1…
隣の部屋の本棚に転がっていたので手に取りました。「思想戦」に巻き込まれる事を余儀なくされた京都学派の思想と行動とはどのようなものだったのでしょうか?海軍の依頼を受けて行われていた会合の内容を描写するメモを手がかりに、京都学派の「反体制的な…
5ヶ月くらい前に「誰かblogで取り上げないかな」と言っていた人がいたので取り上げてみました。科学研究費補助金の前身である科学研究費交付金、その設立には当時の情勢が強く影響していました。 水沢光(2012), "日中戦争下における基礎研究シフト-科学研…
健康診断のついでに、駒場博物館で開催されている表題の展示に行ってきました。 ツイン・タイム・トラベルーイザベラ・バードの旅の世界・写真展 監修:金坂清則 京都大名誉教授 場所:駒場博物館(東京大学駒場キャンパス) 期間:6月30日まで 開館時間…
「Isis, Focus読書会#9 科学史の未来」(https://www.facebook.com/events/488774157858750/)参加にあたり、Isis vol. 104, no. 1 (2013) の Focus "The Future of the History of Science" 収録論文を読みました。「ビッグデータ」という言葉が世を席巻し…
安倍総理が北アイルランドでのG8サミットへ飛び立ちました。一方現地では抗議活動も起きているようです。というわけで、折よく?サミット関連で著者からお送りいただいた論文があるので紹介します。 2008年に開催された洞爺湖サミットへの抗議活動は、G8に対…