2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

十九世紀後半の中国における国際法をめぐる状況―ウィリアム・マーティンの書簡に基づく一考察―

列強の東アジア進出が本格化した19世紀後半、それはまた西洋の法秩序に東洋が「取り込まれていった」時代でもありました。中国で宣教師活動をしていた人物の国際法学者としての側面に着目し、当時の西洋・東洋における国際法をめぐる状況の多様さの一端を示…

50年前の憲法大論争

50年前の憲法大論争 (講談社現代新書)posted with amazlet at 13.08.19講談社 売り上げランキング: 168,928Amazon.co.jpで詳細を見る 本書は1956年3月16日金曜日に開かれた「第二十四回国会 衆議院内閣委員会公聴会」の記録です。公聴会は、岸信介をはじめと…

荒川放水路物語

荒川放水路の工事は、明治の終わりから大正をはさんで昭和のはじめまでの、世界と日本の歴史を背景に、掘削機が出現したり、不景気に見舞われたり、関東大震災に直撃されたりしながら進められていくのだった。歴史というものは、どこか遠い所での出来事で編…

科学技術動員と研究隣組―第二次大戦下日本の共同研究―

分野横断的研究の促進、基礎研究-応用研究-産業化という一気通貫プロセスの促進といった方向性は現代日本の科学技術開発の上で繰り返し強調されています。科学技術白書にも何度も現れるこれらの言葉ですが、そもそも研究開発における共同研究促進体制が初め…

人文科学の研究動員

戦前・戦中期における人文・社会科学研究体制の包括的研究書である『戦時下学問の統制と動員―日本諸学振興委員会の研究』の第5章「人文科学の研究動員」を読みました。当初は自然科学中心だった研究費の配分対象はなぜ人文・社会科学にも拡充されていったの…

第2次世界大戦前後の国鉄技術文化―鉄道車両用台車振動研究史の再検討を通じて―

映画「風立ちぬ」の主人公である堀越二郎は戦後も航空機開発に従事し、国産旅客機であるYS-11の設計にも携わります。一方で、戦前は航空機の開発に携わりながらも、戦後は鉄道技術開発に活躍の場を移した技術者達がいました。前回の記事で取り上げた松平靖ら…