2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

故井伊直弼を考課する――直弼五十回忌までの歴史批評

近江絹糸労働争議の解釈をめぐって市と編纂委員会が対立、新たに編纂した市史の現代版が出ない!?ということで話題になっている彦根市ですが、気になっていろいろ調べているうちにこんな論文にたどり着きました。維新後長く逆賊の汚名を着せられていた彦根…

プロメテウスの罠――明かされなかった福島原発事故の真実

ギリシャ神話によれば、人類に火を与えたのはプロメテウスだった。火を得たことで、人類は文明を発達させる事ができた。化石燃料の火は生産力を伸ばし、やがて人類は原子の火を獲得する。それは「夢のエネルギー」とも形容された。 しかし、落とし穴があった…

昭和45年11月25日

「英雄のいない国は不幸だ!」 「違うぞ、英雄を必要とする国が不幸なんだ。」 ブレヒト『ガリレイの生涯』より 昭和45年11月25日、陸上自衛隊東部方面総監部に押し入った三島由紀夫は総監を人質にとった後、駐屯地の自衛官に向けて檄文を配し演説を行います…

綿業が紡ぐ世界史――日本郵船のボンベイ航路

日本郵船が開設した日本で最初の国際定期遠洋航路、それは神戸とボンベイを結ぶものでした。1893年に開設されたこの汽船航路は、当時のグローバルな経済、金融、政治状況と密接に関わっていたのです。 秋田茂「綿業が紡ぐ世界史――日本郵船のボンベイ航路」『…

福地源一郎研究序説――東京日日新聞の社説より

とある講義で必要があって読みました。明治期の有力紙の一つ、東京日日新聞の主筆であった福地源一郎の活動を概観した論文です。穏健かつ現実的に立憲主義と協調外交を提唱していた福地、その活躍と挫折とは? 五百旗頭薫「福地源一郎研究序説――東京日日新聞…

「本当のこと」を伝えない日本の新聞

「本当のこと」を伝えない日本の新聞 (双葉新書)posted with amazlet at 13.10.21マーティン・ファクラー 双葉社 売り上げランキング: 10,347Amazon.co.jpで詳細を見る とある講義で必要があって読みました。本書は日本語もできる著者の語り起こしだそうです…

朝鮮銀行―ある円通貨圏の興亡

貧弱な国力の日本が、日中戦争から八年間も戦争を続けることができた背景には、日銀券を中心にして、周辺に鮮銀券と台湾銀行券、さらには満州中央銀行券といった植民地通貨を配して障壁とし、戦争中には占領地に設立した中国連合準備銀行、中央儲備銀行など…

開国への道&北太平洋の「発見」

某ゼミで担当文献だったので読みました。江戸期日本の開国の歴史、それは果たしてどこから始まるのでしょうか?ペリー?いえ、そうではありません。1853年のペリー来航からさかのぼること60年、話はロシアから始まります。日本開国の歴史におけるロシアの存…

The Work of Invisibility: Radiation Hazards and Occupational Health in South African Uranium Production

戦後長年ウランの産出を行ってきた南アフリカ共和国。同国における放射線被曝規制は必ずしも「科学的」に行われてきたのではなく、政治的・人種的な思惑に左右され続けてきました。南アフリカにおける放射線規制の変遷を「テクノポリティクス」の視点から概…