1600年前の図書館戦争

映画「アレクサンドリア」を見ました。主人公のヒュパティアについてはここを参照。


           

4世紀、ローマ帝国末期のエジプト、アレクサンドリア。宗教をめぐる市民の対立から街が荒廃する中、類まれなる美貌と明晰な頭脳を持った女性天文学者ヒュパティア(レイチェル・ワイズ)は、分け隔てなく弟子たちを受け入れ、講義を行なっていた。やがて、科学を否定するキリスト教徒たちと、それを拒絶する学者たちの間で、激しい対立が勃発。そして攻撃の矛先は、彼女に向けられたのだった

印象に残ったのは、弾圧に対して反乱したキリスト教徒たちが学者や異教徒をアレクサンドリア図書館に追いやるシーン。立て篭ってにらみ合いになりますが、統治していたローマ軍が仲裁に入ります。そしてローマ皇帝の名で下された裁きは・・・「罪には問わないが、図書館から出るように」。キリスト教徒に蹂躙されようとするアレクサンドリア図書館から、ヒュパティアら学者が必死で巻物(製本技術まだない)を持ち出すシーンは涙ものです。これぞまさに図書防衛隊、1600年前の図書館戦争・・・と言うは易しですが時代によって知の営みが弾圧されたり命がけになったりする一例が垣間見えました。


なお、後半でヒュパティアが宇宙の構造に楕円を構想するシーンに関する某科学史家の嘆きはこちら。