ツイン・タイム・トラベル イザベラ・バードの旅の世界・写真展

健康診断のついでに、駒場博物館で開催されている表題の展示に行ってきました。




ツイン・タイム・トラベルーイザベラ・バードの旅の世界・写真展
監修:金坂清則 京都大名誉教授
場所:駒場博物館(東京大学駒場キャンパス
期間:6月30日まで
開館時間:10時〜18時、火曜休館
入場:無料
http://museum.c.u-tokyo.ac.jp/exihibition.html#Bird



イザベラ・バードは英国「王立地理学協会最初の女性特別会員」の栄誉を得た、史上屈指の旅行家であり、日本では明治初期に北海道を訪れ「日本奥地紀行」を著した英国女性として知られています。その旅は南米と南極を除く全大陸にまたがり、期間も22歳から70歳まで実に半世紀にも及びます。


展示監修者の金坂清則氏は地理学者であり、イザベラ・バードとその旅行の地理学上の重要性に着目して長年研究を行っており、そのプロフィールには「イザベラ・バード論」を専門としていると記述するほど。


館内では、金坂氏がバードの旅路を追って撮影した100点に及ぶ写真がバードが執筆した旅行記中の記述と共に展示されており、氏の言う「ツイン・タイム・トラベル」ー過去の旅行記に描かれた旅の時空と自らの旅の時空を主体的に重ね合わせる新しい旅の形ーを体感できるようになっています。100年以上前に書かれた詩的な記述の数々は、現代になって金坂氏が撮影したカラー写真と並んで生き生きと風景を描写し、遠い地球の裏側へと観覧者を誘ってくれます。


旅行記を読むとは、その基になった旅を読み、旅する人を読み、旅した場所・地域を読み、旅した時代を読むことである。」金坂氏は「研究なき翻訳はあってはならない」という姿勢のもとで膨大な訳注を付してバードの著書を完訳してきました。まさに地理学者の面目躍如、執念、しつこさを見せつけられます。当時陸軍第6師団の拠点であり、通常は写真撮影が許可されなかった熊本城の写真をバードはなぜ撮ることができたのか?それを明らかにする氏の述懐を含んだ展示映像も必見です。