月刊ポスドク創刊記念特大号


twitterで表紙が作成されたところ、一部ポスドクの皆さんが本気を出して中身まで作ってしまったという『月刊ポスドク』8月号を読みました。ついでに言うと、これを手に入れるためにコミケ初参戦となりました。人の多さでは有名なイベントですが、あんなに多いとは思いませんでした。暑い中販売を担当されていた皆様、本当にお疲れ様でした。コミケではコスプレ&写真撮影の熱気にびびったり、日付によって出展が全て入れ替わることに驚いたり、人数の多さ故に冷房がつけられないことにげんなりしたりといろいろ勉強になりました。友人で出展している人も何人かいるし、また行ってみたいです。



戦利品の『月刊ポスドク8月号』、付録の"研敵必察"トートバッグ

  • 目次

・簡単セルフチェック「うそっ・・私・・ポスドク?」
・履歴書・業績書使い回しコーデ
ポスドク時代を振り返って思う
・ゆるふわ愛され♡ポスドク―事務の人に愛されるには
・華の海外PD組―研究生活すべて見せます
・気をつけたい!国際学会・留学落とし穴
・結婚・出産ラッシュ!こうしてワタシはのりきった
ポスドクとオカネ事情―医師(MD)の場合
・懐かしのアメリポスドク生活あれこれ
・アピール必須!ポスドクアウトリーチ
・良い研究はおいしいごはんから!まんぷくラボごはん
・小説「ポスドク羅ボ生門」
ポスドク占い
・次号予告
・編集後記・奥付

  • 読んでみた


どの記事も悲壮感刺激に満ちていて大変興味深かったです。ざっと読んでみて印象に残ったのはやはり「結婚・出産ラッシュ!こうしてワタシはのりきった」でしょうか。子どもが何人居るか、実家との距離はどれくらいか、所属先が保育園・幼稚園を提供しているかなどによって千差万別な状況があるのかとは思いますが、そんな中で一つの「モデル」がこういう形で提示されるのは非常に意義のあることだと思います。


あとは「華の海外PD組 研究生活すべて見せます!」も面白かったです。「私の滞在中に、彼(受け入れ教員)のラボの院生がScienceのペーパーを通していました。それは極端としても、国内では「憧れ」であった一流の雑誌に、ぽんぽんと投稿して、ぽんぽんと通しているのを見て、そういう雑誌は「憧れ」の対象ではなくて、誰でも投稿できて掲載できる「現実」なんだな、と思いました。」という箇所に端的に表れているように、どこかの段階で海外で研究生活を送ることは自分の世界観を広げ度胸を付ける上でやはり重要だなと感じました。


しかし何より印象深かったのは「編集後記」でしょうか。企画・編集・販売までほぼ一手に仕切っておられた@nanaya_sacさんの思いがよく分かる素晴らしい編集後記でした。「「誠実に」行われた研究に無駄なものはない」というのはまさにおっしゃる通りだと思います。ポスドクという不安定な立場にあってもなお、人生の全精力を傾けて研究を行っている彼ら・彼女らによって日本の学術研究の屋台骨は支えられているということを改めて実感しました。


本雑誌は評判等々如何によっては次号が作成される可能性も微レ存らしいです。近くに持っている方がいたら読ませてもらうのも一興ではないでしょうか。孤立しがちなポスドクが、こういう形式で一つのコミュニティを形作っていければ、それは彼ら・彼女らを取り巻く必ずしも満足とは言えない精神的・肉体的状況をささやかにでも癒すものになるのではないでしょうか。