情報学環福武ホールにおける無線LANの利用に関する私見

ぼちぼち眠くなってきたので寝ようとしていたら、twitterに投稿した愚痴(厭味ったらしい言い方をしたのは反省しています)がなんと某先生の目にとまってしまい冷や汗をかいた。で、目が覚めてしまったので、この際大学における無線LAN使用について私見をまとめておこうと思う。


まず当該ツイートは以下


「福武ホールB2Fは携帯の電波が入りにくい上に無線LANの使用も面倒ときている。こんなんで学際情報学府・情報学環を標榜していていいのか? #iii_edu」


これに対して情報学環所属のとある先生に以下のような返答をいただいた。


「携帯はキャリアに要望済(ドコモは対応)です。無線LANは情報ネットワーク委員会管轄ですが、具体的な要望があれば伝えます。」


「具体的な要望」と問われて、筆者はふと考え込んでしまった。結局のところ「講義中分からないことがあったらさくっと検索できれば便利だよな。ついでに講義の感想をtwitterでちょこちょこ書き込めたら楽しそうだし。」ぐらいしか思いつかなかったからだ。


時を遡ること一昨年、筆者が留学していたアメリカの大学ではキャンパス中に無線LANが張り巡らされていた。芝生に寝転がってskypeを起動し、日本とビデオ電話をしたことすらある。無論skypeの話は極端な例だが、講義とインターネットは非常に密接にリンクしていた。とある政治学の講義中など、PCを起動していた学生は9割近くにのぼった(ちなみにみんなマックだった。まるで制服のようだ笑)。講義中に新たな講義資料がメールで一斉送信されることは日常茶飯事だったし、先生が発した問に学生の内の誰かが瞬時に検索して答えるということもままあった(ていうか先生が検索を頼むことすらあった笑)。


当然デメリットもあるわけで、講義中に後ろの席から前方の学生のラップトップの画面を見るとfacebookが散見されたことは言うまでもない。講義と関係のないメールの返信に勤しむ学生もたまにみかけたくらいだから、無線LANを導入したところで講義が効率化し学習効果がアップするかというとそうとも言えない(実際東大の先生方はこの点は結構危惧していらっしゃいそうである)。


結局のところ、講義中に自由に無線LANを使えるかどうかは、学習効果にどういう影響を与えるかをよく考慮した上で決定すべきであるというのが筆者の結論だ。twitterとかustreamとか最近結構流行っているけど、「とりあえず使っている俺らgeekだぜ!使えばおk」みたいなノリでいては、これら新手法の未来もおぼつかない気がする。むしろ思索と議論を重んじる演習ならば、電波を一切シャットアウトすることだって必要だろう。実際、留学中に選択していた別のゼミでは、教授が「このゼミではラップトップの使用を禁止しようかな・・・」と言っていたことだってある。「中国の一人当たりGDPはいくら?」なんて聞かれたときに、安易に検索で答えを出してしまうよりもじっくり考えて答えを推計することだって時には大事じゃないか、とそういうことである。*1


とまあ上記を踏まえた上で、それでもなお学際情報学府・情報学環福武ホールにおいて無線LANの使用をより容易にする(少なくとも所属院生及び教育部研究生は、学籍番号とパスワードを入力すれば福武ホール内どこでもアクセスを可能にする)ことの必要性を以下に挙げてみる。


1.ここは学際性・メディアの府である


筆者は教育部研究生になってまだ2週間程度なので、情報学環の存在そのものに関して何か語るのは非常に恐縮なのだけど、学際性(つまり学生は専攻ではない分野の知識も要求される)&メディアを標榜する地であることはとりあえず同意してもらえると信じたい。最初のtweetでも述べた通り、そういう場において講義中にネットが使えないのはその存在意義を否定しているにも等しいのではないだろうか。電子出版の可能性が論議される中(実際そのような講義もある)で、講義レジュメは頑なに紙で配りますというのはあまりいただけない。全ファイルPDF化してポータルサイトで配布、講義にはノートPC持参必須(持っていなければ貸与)くらいのことはやってほしいものである、極端な話。


入部式で水越先生がおっしゃっていたが、あの建物は本郷通りに面しており全面ガラス張りで「社会に開かれている(なのに一回のトイレは学生証がないと入れないが)」。ぱっと見開かれてるけど、ネット上では閉ざされている・・・なんてのはどうかと思う。


2.壮大なる実験場


学部6年目の筆者に言わせてもらうなら、東大の無線LAN環境は最悪である。研究室あるいは学科別にネットワークが整備されそれぞれにパスワードも違う。当然無線LANなど存在しないところだってある。この整備姿勢は非効率極まりないとしかいいようがない。学内ポリティクス&予算配分執行体制がどうなってるのかは知らないが、情報基盤センターが音頭をとって(いや確かに一部の建物ではやってるけど、未だに「実験」と称しているあたりイマイチやる気を感じない笑)キャンパス内どこでも学籍番号とパスワードでネットに繋げるようにして欲しいものである。


といってもいきなりは無理なので、まずは情報学環が率先して建物内無線LANの共通化を図って欲しい。コモンズ(1F)とシアター(B2F)のアクセス方法が違うなんて面倒なことをなんでしているのだろう?そんなに学生が信用できないのだろうか?*2


※この項執筆後追記:返答をくださった先生曰く、アクセス方法の共通化は現在議論の俎上にのぼっているそうだ。


3.学習効果(今年の講義を踏まえて)


昨日2コマの講義に出席した。ひとつは「世論調査と選挙予測」、もうひとつは「デジタル時代の著作権のOP化」*3だった。前者においては、自己紹介ついでに出身選挙区の情報をちょこっと紹介するという流れになったのだが、この時に他地域の出身者がwiki等で聞いたこともない議員の名前や、直近の選挙結果(何ひ票差だったか等々)を参照できたら結構学習効果はあると思う。


後者にいたっては、そもそもインターネットの出現と著作権の関係が問題となっている。この授業でネットに繋げないなんて・・・たしか何回目かの講義でwikipediaを扱う回もあったと思うのだが、そんな時に実際のwikiを見ながら講義を受けられないなんてもう言葉もない。


facebookとかtwitterで遊ぶ奴(含む自分)だっているかもしれないが、それを上回る効果はありそうである。


なおここで注意すべきなのは、ラップトップ使用者は圧倒的に少数派だと言うことである汗。世論〜の講義中、PCを開いていたのは僅か2名(20〜25名中)いくら無線LANを整備しても最後は学生次第ということだ。


以上脈絡もなく最近思っていたことを書きなぐってみた。賛否両論大歓迎。後半眠くなりながら書いたので追記&編集の可能性あり。

*1:なお、講義中にtwitterを使うことの是非?については中原先生のこのエントリ→http://www.nakahara-lab.net/blog/2010/02/post_1648.htmlに詳しい

*2:大学が学生を信頼することの重要性については、図書館運営をネタにまた書いてみたいと思う。

*3:いずれも正式名称ではなく副題。講義名を引用しても何の講義かよく分からないのでこちらを引用した