サイモン・シン著「宇宙創成(上)」

「なんでガリレオ木星に衛星を見つけたことがそんなに大事なの?」そう子供に問われたら、答えはこの本にあります。


古代ギリシア時代の宇宙観の精密さと限界を出発点として、数十世紀にわたる天文学者達の「宇宙≒神」を知ろうとする戦いの歴史が描写されている。上巻では、科学者たちがいかにして地球の大きさを知り、月の大きさを知り、太陽までの距離を知り、光の性質を知り、他の星までの距離と速度関係を知るに至ったかが書かれており、ビッグバン仮説へと誘ってくれる。


著者の作品は、「フェルマーの最終定理」、「暗号解読」に続き三作目となるが、驚異の分かりやすさ。世界一の科学ノンフィクションライターと言っても過言ではない。そして相変わらずクォリティの高い訳を生み出している青木さんにも賞賛の言葉を送りたい。


「宇宙にとってもっとも理解し難いのは、宇宙が理解可能だということだ」―アルバート・アインシュタイン


宇宙創成(上) (新潮文庫)

宇宙創成(上) (新潮文庫)